ボルドー右岸のサン・テミリオンの格付けは他のエリアの格付けに比べて非常に厳しく、ボルドーの格付けの中では最も信頼できるものと言われています。
フランス南西部の大西洋沿いに広がるボルドーのブドウ畑は、ピレネー山脈から流れるガロンヌ川と中央山塊から流れるドルドーニュ川、そしてその二つの川がボルドー市のすぐ北で合流して大西洋に注ぎ込むジロンド川、これら三つの川の周囲に広がっています。
サン・テミリオンはドルドーニュ川右岸に位置する歴史的な町サン・テミリオンを拠点に広がるワイン産地で、ドルドーニュ川の支流バルバンヌ川を挟んで北側には、サンテミオンの名がつく四つのA.O.C.があり、それらをサン・テミリオン衛生地区と呼んでいます。
一般的にサン・テミリオンのワインは、ボルドー左岸のカベルネ・ソーヴィニヨン主体で造られる力強くタンニンが豊富なワインに比べて、柔らかく滑らかでふくよかなワインとなります。
サン・テミリオンの土壌の違いは前述の通りで、粘土石灰質土壌の「コート」はメルロの栽培に適しており、芳醇でまろやかなタンニンが特徴のワインが生まれます。
一方、粘土砂利質の「グラーヴ」ではカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンが多く栽培されており、繊細ながら長期熟成に耐えうるワインが生み出されています。
海の影響を受けにくく寒気が溜まりやすいサン・テミリオンでは、土壌が冷たくなるため晩熟のカベルネ・ソーヴィニヨンには不向きと言われてきましたが、近年は温暖化の影響で、粘土石灰質「コート」の土壌ながらカベルネ・ソーヴィニヨンに植え変える生産者も増えています。